経営に関するお悩みをお持ちの社長様のために役立つ情報を提供する「中小企業のための経営あんしん相談室」です。
前回、小企業の体制のまま、規模が大きくなった中小企業に見られる5つの症状を「中小企業病」の基礎疾患であるとお伝えしました。
今回からはその5つの症状を詳しくご案内します。
前回はこちら>>>「中小企業病にかかっていませんか?」
中小企業病の5つの症状
前回お伝えした中小企業病の症状は
(1)ドンブリ経理
(2)金欠病
(3)メタボ体質
(4)無計画と行動不足
(5)赤字体質
以上5つです。まず(1)ドンブリ経理から説明します。
ドンブリ経理とは
小企業の時は、社長一人でも十分に対応できる経営環境が多いでしょう。例えば一人で営業、受注、請求、支払いなどを社長一人でおこえます。
この時期を飛行機に例えると、会社は「セスナ機」のようなもので、社長が機長です。
セスナ機用の計器は必要ですが、複雑な計器は必要なく、飛行機を操縦できれば目的地にきちんとたどり着けます。小回りもききますので操縦技術があれば安定しますし、たとえ不時着をしても、大きな飛行機より大きな危険があるのは少ないかもしれません。
つまり、社長の「営業力」や会社の「商品力」があれば社長が本気になれば何とかなるという状況が「ドンブリ経理」という状況です。
しかし、年商が1億円以上になるとお客様も増えるでしょうし、受注数も増え、商品もたくさん用意しなければなりません。
飛行機で例えるなら「ジャンボジェット機」に乗り換える必要が出てきます。ジャンボジェット機なら多くの荷物を運べますが、リスクも高く、機長は計器をしっかり確認しながら飛行する必要があります。また、管制塔の指示を受けながら正確に飛行する必要も出てきます。
つまり、年商1億円以上の企業になると社長一人の力では難しい状況が出てきます。経営していく上で確認するもの、把握するもの、準備するものがたくさんあります。小企業(セスナ機)の時のように「ドンブリ経理」では立ち行かなくなることになっていきます。
ジャンボジェット機が計器類を見ないで有視界飛行をしていたら不安になりませんか?社長が数字も確認せず、感覚で資金管理をしていたら不安になりませんか?簡単に言えばそれが「ドンブリ経理」です。
置き換えて考えてみてください。御社はいかがですか?
・どれくらい飛んだのか=売上はいくらだったか把握しているか
・飛んでる方向が正しいのか=利益はどのくらい出ているか算出できるか
・あとどれくらい飛べるか=資金は潤沢にあるか
ドンブリ経理の症状
飛行機に例えて、ドンブリ経理を説明しましたが実際の状況で説明します。
①そもそも記録していないか税理士に丸投げ
会計処理を苦手と感じる社長様は多いと思います。それ故に申告時期まで放置している社長様はいませんか?
また、税理士に頼んでいるから大丈夫と言いつつ、資料を送りっぱなしで終了ということはありませんか?
②記録が間違っている
会計取引を帳簿につけていると言っても間違っていてはその作業は無駄になってしまいます。社長様が正しい会計知識を身につけるのは時間的、労力的にも難しいでしょう。
③記録が遅い
経営状態を把握するためにはなるべく最近の数値、状態を知りたいと思いませんか。2~3カ月前の記録では経営判断が遅くなります。
④記録が大雑把
売上はこのくらいかな?経費はざっくりで・・と立てることはありませんか?あいまいな数値のままですと、正しい判断はできません。
⑤記録を見ていない
帳簿をつけていても確認、理解をしなければつけている意味はありません。
ドンブリ経理をやめると得られるメリット
では、この「ドンブリ経理」をきちんと見直し、正しく帳簿をつけると分かること、見えることがあります。
①どれくらい儲かっているかわかる
正しい帳簿付けから売上・仕入・諸経費・減価償却などを確認することで利益が分かります。
②いつ、資金が不足するかわかる
売掛金の回収時期と支払や返済のサイクルを理解することで資金の状態を把握できます。
③銀行借入がやり易くなる
銀行は会社にお金を貸すとき試算表などを見ます。きちんと帳簿をつけていればすぐに提出することができます。
④設備投資の判断がし易くなる
設備投資が必要になった場合、経営状態を認識して投資できるか判断します。正しく帳簿をつけていれば投資への判断も早くなります。
⑤業績が改善する
正しい数値を把握することで自社の弱みや強み、過剰な支払や投資などが分かるようになり、改善策が提案しやすくなり、結果的に業績は改善します。
まとめ
「ドンブリ経理」
もしかしたら思い当たる社長様がいらっしゃるかもしれません。思い当たるなら改善しましょう。
次回はどうしたら「ドンブリ経理」をやめられるのか説明していきます。
※「中小企業のための経営あんしん相談室」はさいたま市浦和を中心に中小企業のライフステージに応じたサポートをおこなっています。